TCFD提言に基づく情報開示

ガバナンス体制

当社グループ注)の事業は気候変動関連の問題と密接に結びついており、気候変動が当社グループの活動に多大な影響を与える可能性があると認識し、「サステナビリティ委員会」において気候変動関連を含めた全ての環境案件について議論を行い当社最高決定機関である「取締役会」において報告を行っています。

当社グループ売上の約80%を占める(株)チヨダの場合、サステナビリティ委員会では、取締役管理本部長が責任者となり、そのメンバーには、生産管理部長、経営企画部長、人事部長、マーケティング部長をはじめ、各部署から担当者が参加しており、加えてTCFD提言で要請されている戦略においても取締役会にて審議が行われています。
注)(株)チヨダ、チヨダ物産(株)、トモエ商事(株)。 (株)マックハウスは、2024年11月に連結から除外

チヨダ組織図

サステナビリティ員委員会メンバー

戦略

◆リスクと機会の特定
2030年(短期)、2050年(中期)、2100年(長期)を想定し、当社グループ靴事業を対象にリスク・機会の特定・重要度の評価を行いました。リスク・機会の特定にあたっては、脱炭素社会への移行が進み、移行リスクが顕著となるシナリオ(1.5℃・2℃シナリオ)、脱炭素社会への移行が進まず、物理的影響が顕著となるシナリオ(4℃シナリオ)を想定しました。重要度は以下のとおり、「確からしさ」と「影響の大きさ」の観点からスコア化することで評価しました。

- 確からしさ:外部レポート、過去に生じた影響、当社グループの計画・方針等から判定
- 影響の大きさ:
【リスク】 影響の深刻度、主部門への影響、影響範囲の広さ等から判定
【機会】  市場規模、売上への影響、競争優位性等から判定

特定されたリスク・機会のうち、特に重要なものは次に示す表のとおりです。

重要なリスクと機会

重要なリスクと機会 PDF版

チヨダが取り組む5つのマテリアリティ

戦略

◆シナリオ群の定義
移行リスクとして炭素税導入による追加コスト、物理的リスクとして洪水・高潮発生時に拠点が浸水することによる追加コスト・被害額を対象とし、シナリオ分析は、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と国際エネルギー機関(IEA)の情報に基づき、1.5℃/2℃上昇、4℃上昇を想定しました。

使用するシナリオ群

戦略

◆事業インパクト評価
重要度が高く、試算可能なリスクについて、移行リスクとして炭素税導入による追加コスト、物理的リスクとして洪水・高潮発生時の拠点の浸水による追加コスト・被害額を試算しました。

①移行リスク
国際エネルギー機関(IEA)の情報に基づき、当社グループ注)の事業所等のエネルギー消費に伴い排出される温室効果ガス排出量に応じて課税される追加コストを算定しました。1.5℃上昇シナリオで追加コストが大きくなり、2050年の影響は、約8.3億円、2023年度売上に対して最大約1.1% となる試算結果となりました。
注)(株)チヨダ、チヨダ物産(株)。本算定は2023年度温室効果ガス排出量に基づくため、2023年度に連結子会社化したトモエ商事(株)は含まない。

移行リスク

②物理的リスク
気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が提供する将来予測データを用いて、当社グループ靴事業を行う国内店舗(売上額の上位15店舗)・主要拠点が、洪水又は高潮で浸水被害を受けた場合、事業継続に必要な代替オフィスの借り上げ費(追加コスト)、事業停止による売上減少額、浸水による資産毀損額を算定しました。4℃上昇シナリオで財務影響が最も大きくなり、2100年の影響は約2.6億円、売上に対して約2.91%となる試算結果となりました。

物理的リスク

シナリオの定義・事業インパクト評価 PDF版

リスクマネジメントについて

当社グループは、リスクマネジメントについて、「リスク管理総括規程」を策定し、「コンプライアンス・リスク管理委員会」がコンプライアンスおよびリスク管理を統括しています。コンプライアンス・リスク管理委員会は、社内規定に従い、リスクの定期的な特定・評価を実施したうえ、必要に応じてコンプライアンスおよびリスク管理の包括的な見直しを行っています。このリスク特定・評価は、さまざまなリスクについて、その影響度、発生可能性、現状の対策状況を特定・評価し、対策の優先度を明確にしています。当社は、「株式会社チヨダリスク評価基準」に基づいて、予算・純資産・利益いずれかへの影響1%を超えるものについて、重要な財務的影響がある、と定義しています。

リスク評価については、各分野の所轄部門が行った定期的なリスク調査の結果に基づき、環境関連を含む「コンプライアンス」「ガバナンス」等のテーマで横断的にリスク評価を行っています。リスク評価は半年に1回以上実施しており、コンプライアンス・リスク管理委員会は年に2回開催し当社最高決定機関である「取締役会」に報告しています。

コンプライアンス・リスク管理委員会

気候変動リスクも上記の全社的リスクマネジメント体制に組み込まれています。2017年にはCSR室を設け、2021年に新設した「サステナビリティ委員会」では気候変動が当社のビジネスにもたらすリスクと機会について特定し、評価を行いました。重要な課題への対応については、代表取締役社長に報告、承認後、取締役会に上程、もしくは報告する体制を整えています。

気候変動リスク

指標と目標

当社グループ注)では、事業活動に伴うScope1(燃料の燃焼)及びScope2(他社から供給された電気使用)の温室効果ガス排出量を、国際基準であるGHGプロトコルに準拠して算定しています。2023年度におけるScope1およびScope2排出量は以下のとおりです。
注)(株)チヨダ、チヨダ物産(株)。本算定は2023年度を対象としているため、2023年度に連結子会社化したトモエ商事(株)は含まない。

2020年度におけるScope1およびScope2排出量

 当社グループ売上の約80%を占める(株)チヨダでは、気候関連のリスクと機会をマネジメントするため、2030年度における温室効果ガス排出量(Scope1およびScope2の総量)を2013年比で50%以上削減することを目標として設定しています。(株)チヨダでは電気の使用による温室効果ガス排出の割合が高いことから、店舗照明のLED化、高効率空調設備の導入等による省エネルギー化への取り組みを進めてきた結果、2021年度におけるScope1およびScope2(マーケット基準)の総量は、2013年度比で52%減少となり、当該削減目標を達成しました。
その後もさらなる排出量削減に取組み、2023年度におけるScope1およびScope2(マーケット基準)の総量は、2013年度比で58%減少となっています。

2020年時点において、2013年比で45%の温室効果ガスを削減

指標と目標 PDF版

 2030年に向けてさらなる削減を目指すとともに、2050年に向けては、新技術を用いた設備システムの導入による省エネの推進、環境に配慮した店舗づくり等、脱炭素社会に向けた取り組みを加速することで、排出量実質ゼロを目指してまいります。また、現在、当社グループ全体としての削減目標についても検討を進めています。

 また、(株)チヨダでは2022年度よりScope3の算定による事業活動全体に関する温室効果ガス排出量を把握しており、さらなる削減策の検討を進めています。(株)チヨダのScope3排出量は以下の通りです。

2020年時点において、2013年比で45%の温室効果ガスを削減

指標と目標 PDF版